「おせち 冬のお重|福岡、西中洲の和食、日本料理 ゆるり」


おせち冬のお重です。

あちゃら海鼠柔煮
赤なまこは内臓を抜いて塩磨きしておきます。一度茶振りにした後、酒、昆布出汁に鷹の爪を入れたもので様子を見ながら4,5時間弱火にて蒸煮込みにします。温度が高かったり蒸時間が長いと溶けてしまいますし、時間が短い固く美味しく仕上がりません。気長にじっくりです。柔らかくなったら一度晒してからザルにとって土佐酢加減の出汁に鷹の爪を入れたもので軽く炊いて冷まします。直接手をかける時間は少ないですが時間を惜しまず作る料理です。

聚楽牛蒡黒檀煮
堀川牛蒡を半月に切って鉄鍋で茹で黒くなるまでそのまま放置します。還元鉄やお歯黒を使う方法もありますが自分は鉄鍋で十分です。色着いたら殺菌のため一度沸かしてから、溜醤油、砂糖で味付けをし、昆布、鰹節をさして炊いていきます。牛蒡自体が柔らかいので長時間炊く必要はありませんが日持ちをさせるためにやや長めに炊いています。

ずわい砧巻
ずわいの身を二つ合わせて錦糸卵で巻きます。錦糸は無くても良いですが色が綺麗なのでお節の時は使っています。若布でも良いと思います。大根をやや厚めの桂に剥いて塩水につけしんなりさせた後に少し塩を利かせた甘酢に漬けておきます。かにの身を大根で巻いて甘酢に1日漬けます。かにから水分が出て味がぼやけるので次の日に新しい甘酢に漬け直します。切り口が見えるように盛り付けます。

牡蠣杉板焼
杉板は湯がいて木材臭さを取ります。その後水につけて保存します。牡蠣は大根おろしで洗って汚れを取り除き薄口、一味などで味付けした出汁に一晩漬けておきます。ザルで出汁を切って脱水シートで水分を取った後、8割方天火で焼き上げます。杉板で挟んで竹皮ひもで結んでオーブンにて芯まで火を入れます。お店で出す場合は焼き目を付け木の香りを発たせてもいいのですが箱に詰める場合は香りを他の料理に移らないようにしたいので焦がさないようにしています。

鱈場蟹焼
鱈場蟹、焼いただけです。説明する必要はないですが、あえて言うなら間違いなく美味しい奴です。

寒鹿零余子石垣
むかごは柔らかめ炊いておきます。固いと切る時に大変な事になります。鹿は筋を取りミンチにした後、裏漉します。肉のしっかりした感じが欲しい場合は裏漉しする必要はありませんが、今回はしっとりさせたかったので裏漉ししています。赤味噌、醤油、砂糖などで味を付けむかごを混ぜて焼き上げます。

松笠慈姑含煮
くわいは六方に剥いた後に松笠に飾り包丁を入れていきます。角が取れた物はアウトです。芽が出てないくわいはお節に入れる必要なしです。めでたくないから。クチナシを入れてボイルしてから含煮にします。便利な冷凍加工品もありますがあんまり美味しくないので時間がかかっても手剥きが一番です。

唐津甘鯛若狭焼
唐津産の大きめの甘鯛を若狭焼に。甘鯛もデカい方が美味しいので大きめのものを選んでいます。

金時人参梅煮
金時人参を梅に剥いて、梅干しを加えた出汁で炊いていきます。金時は柔らかいので炊きすぎるとふにゃっとして美味しくないので美味しい頃合いを逃さぬようにしたいものです。

紅白千代呂木
ちょろぎという山菜を甘酢、梅酢で炊き紅白彩良く散らします。季節の味という事で。

結萵苣董
ちしゃとうは皮を剥き、縦に切って塩水でしんなりさせます。程よい長さに切り分け結んでいきます。流水で塩気を抜いてから色よく茹で、吸物加減の出汁に漬け込み味を付けます。

松葉を散らし完成です。

五日目ともなると説明がザックリしてるような気もしますが細かな所を突き詰めると一話、一料理になりかねません。となるとお節ネタだけで2か月くらいかかりますね・・・。

今回はこんな感じのお節でした。今年(来年?)はどんな献立になりますやら。それを含めて総括、反省をしたいと思います。

追伸:こんなものを作ってる割りには自分のお節は数の子だけでした。疲労困憊で食欲より睡眠欲が勝りました。で、腹減って起きる。

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西中洲の和食「ゆるり」
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