河海老艶煮:福岡、西中洲の和食、日本料理 ゆるり


河海老の艶煮

河海老とはそのまま、川や湖などの淡水にいる海老です。

とあるお客様曰く、

「これ、池の水を抜くに出てくるヤツやん」

なんかそういうTV番組があるらしいですね。日本の在来種?らしいです。別名「手長海老」とも言いますが、洋食などで使われる「手長海老」云わいるスキャンピーとか「アカザエビ」の類とは全くの別種です。

手長海老とか琵琶湖にはいっぱいおったで。

昔、小学生の時分ですが滋賀県の大津市に住んでおりました。琵琶湖まで徒歩3分。今みたいに「危ないから琵琶湖で遊んではいけません!」といったことも無く、遊びといえば「琵琶湖で釣り」「琵琶湖でなんか捕まえる」が主でした。

琵琶湖はバスフィッシングのメッカでもありますが如何せん小学生です。そんな道具を買うお小遣いなんてありません。基本は「網」若しくは「手掴み」です。ちょっと知恵をつかっても「拾った塩ビ管で罠を作る」くらいです。

河海老だけでなく天然鮎や鮒、ザリガニなどをバカみたいに取っては持って帰り、親に怒られる。という安定的且つ定番の小学生でした。なんか今では考えられないほど取りまくっていました。

アコギな話、現在の時価総額に換算すると結構な金額です(苦笑)。

河海老を仕入れに行こう!

一応、通年ものはいますが基本的には「夏の食材」になります。

ゆるりでは「活物」を仕入れています。冷凍もありますが何か気に入らない(笑)大きさを揃えたい、ハサミが取れてないものが良いので自分で生簀から選びます。ちなみにハサミが大きいものがオス、小さいものがメスです。選ぶのはオスばっかりです。だって、カッコイイもん、器に盛った時、っていう理由です。

そんなに大きくない海老(芝海老よりちょっと大きいくらい)ですからやはり「油」を絡めた料理が良いですね。素揚げにして塩を振る、ちょっと片栗粉を絡めて唐揚げも美味しいです。尻尾の殻を剥いて「微塵粉揚げ」「おかき揚げ」などの料理もあります。

では「河海老」を調理します。今回は艶煮。

今回は「艶煮」です。揚げる、油抜きする、炊き上げる、の三工程です。

まずは氷水で仮死状態にします。締まったら水気を取って油に投入。殻まで食べられるように結構しっかり揚げます。出来れば「ハサミを真っ直ぐ」に揚げたいのですが活きが良いと中々真っ直ぐにはなってくれません。致し方なし、です。

その後熱湯に潜らせ余計な油を抜きます。仕上がりの味をスッキリさせたい(油っぽさを抜きたい)のと艶、照りを乗せやすいという効果があります。よく水気を取ってから炊いていきます。

海老を並べてもゆとりのある大きめの鍋に酒、味醂、砂糖を沸かします。狭い鍋だと炊いてる時にハサミが折れる可能性があるのでご注意を。調味料はかなり少なめです。「炊く」のですが「出汁(調味料)の中で味を含ませる」のではなく、「飴状の調味料を絡ませる」といった煮方です。砂糖などの「糖分」で「艶」のある仕上がりにするから「艶煮」です。

海老を入れる前に調味料をある程度煮詰めます。アルコールを飛ばす、粘度を持たせるのが目的です。煮詰まったら海老を入れます。その後煮汁を掛けながら照り、艶をのせていきます。煮汁がほぼ無くなったら薄口を少しずつ入れながら味を整えます。ここで少し水飴(無いなら無くても大丈夫)を入れ艶をさらに出します。最後に少量の酒、酢を入れて沸かせば完成です。最後の酒、酢は海老同士がくっつかない様にするためですので味が付かない、変わらない程度です。

河海老とか鮎とか、淡水魚好きっすね。

って後輩やお客様に言われます。たまに鮒とか使うこともあります。確かに好きです。理由は多分「ノスタルジー」です。ちっちゃい時の思い出や体験が食材に対する「思い入れ」になっているのだと思います。勿論、「美味しいやん、食べたいやん」っていうのもありますけどね。

夏は「河魚」が美味しいです。食べたくなったら連絡下さい。092-725-6870 ゆるりまで。