「春の若鮎|福岡、西中洲の和食、日本料理 ゆるり」


若鮎、稚鮎を酢炊きにする。

稚鮎は6~8cmのもので、朝、市場にて氷締めにしたものを使う。傷が少なく、痩せていないものを大きさを合わせて選ぶ。小さい物でも仕上がりに差が出ないように大きさには気を使うべきである。
氷水にて洗いぬめりを取る。このサイズであればうろこをかく必要はないが、大きめの鮎を使う場合はうろこをとったほうがよい。基本的に川魚はうろこを取らずに処理をするのが慣わしであるが、近年の食の嗜好を考慮すればうろこを取るのもありである。

鍋に鮎を並べ、水、酒、酢をひたひたに入れてゆっくりと下煮をする。「骨まで柔らかく」するために水を足しながら2~3時間炊いていく。柔らかくなったのを確認した後、砂糖、味醂を加え炊いていく。大きな鮎の場合は番茶を加え炊いていくと柔らかくなる。香り、鮎臭さが気になる場合は下煮した汁を捨てて新しく煮汁を作っても良い。

煮汁がある程度煮詰まってきたら酢を足す。酢の角が取れたら薄口、塩で味を調える。スライスしたらっきょう漬を適量加え、酸味と風味を足す。入れすぎると鮎の風味が消えてしまうので味を確認しながら量を決める。さらに詰めて仕上げる。

地味な料理なので、蕨、沢蟹艶煮、軸三つ葉を盛りつける。共に炊いたらっきょうも忘れずに。

甘露煮や有馬煮は勿論、南蛮漬とも違う味。
ほんのり香る鮎の風味と苦味が食欲をそそる。

和食の先附は、胡麻豆腐などの寄物や、白和えといった和え物、浸しなどだけではない。少し手を掛けた煮物、炊物をお出しすることもある。季節を表現出来さえすれば何でもいいと考えている。

明日はどんな献立で、どんな先附か。
美味しくて、楽しく、季節感があるものを考えよう。
仕入に行くのが楽しみだ。

追伸:沢蟹もちゃんと作ってます。殻ごとバリバリ食べれます。

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