「祝い鯛袱紗焼|福岡、西中洲の和食、日本料理ゆるり」


先月は祝い事が多かった。
姿焼を焼く機会が立て込むと何と言うか、ムズムズと悪戯心が刺激される・・・。

本来、お祝いの姿焼は切り身にせず、切り目も入れずに焼くのが決まりであるし、青いもみじ(ま、楓ね)も使ってはいけない事になっている。

しかし、だ。
青楓は清々しくて夏の時期にはあるといいなーとも思うし、姿でまるまる焼くと・・・
「食いにくい」というか、
「どうやって食べるんや?」
わからんと何かストレスというか、
「聞いたら恥ずかしい?」とか「カッコ悪い?」
とかなりがちかと。
それはそれでやはり伝統とか決まり事があるとは云え「楽しく」はない。
なので今回は姿と身は切り身にして別に焼く。

まず、鯛の鱗を落とす。大切なのは頭や口などの鱗も綺麗にとる。焼くと鱗が立って美しくないし、美味しさも半減する。姿も食べて貰う事が前提なのでそこも抜かりなく。姿卸しにした後、姿は塩水につけ味を馴染ませておき、身は切り身にして塩をあて、薄めの若狭地に漬けておく。

悪戯はここから。姿に卸して切り身を「塩焼」「若狭焼」にしても、自分的には「ハイハイ、ごくろーさん、まあまあ頑張りましたねー」と思う体質?なのでもう一工夫。今回は袱紗焼きに。

漬けこんだ切り身を開き、間に雲丹を挟む。7割程焼き台で火を通し、その後、春巻きの皮で包み、更に錦糸卵で巻く。姿は形を決め焼いておく。
姿は冷めないようにサラマンダーで保温しておき、仕込んだ袱紗焼をオーブンで焼く。焼き時間や温度の加減失敗するともれなく真黒になるので注意が必要。でも多少は焼き色がつかないと美味しそうには見えない。周りは「カリッ」と中の魚と雲丹はできるだけ「フワッ」と仕上げたい。ただでさえ天然鯛は焼きすぎると美味しくないので集中力が必要。

口取は丸十、茗荷、青梅でさっぱりと。

こんな祝鯛も面白いと思って作ったが、案外大変だった(笑)。でもベストは尽くしたし、とても喜んで頂けたので自分としても大満足だ。

またお祝い事があったら祝い鯛を焼くだろう。
ま、同じ事はせんやろうな・・・。
自分、ひねくれてますから。

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