「唐墨をいただきました|福岡、西中洲の和食、日本料理 ゆるり」


献立

前肴: 紫陽花百合根 青梅蜜煮 河海老艶煮 鱧の子塩辛 天然鰻白焼
椀 : 丸仕立 すっぽん三骨 牛蒡道明寺と牛蒡従兄弟煮 針牛蒡 絹鞘
造里: 一、虎魚薄造り 煎酒 酢橘 九条葱洗い
一、石鯛海鼠腸和えと丸あぶら刺し
一、大トロと上馬刺しの握り 酢取茗荷
焼物: 釣りきんきと万願寺焼浸し 針柚子
冷鉢: 加賀太胡瓜翡翠煮 天然あわび酒蒸 唐墨
隠元
旬菜: 赤牛のフィレとフォアグラ もろこしソース 焼お蔵 フルーツトマト
食事: 唐津海胆の炊込飯に板海胆一枚
留椀: 虎魚赤出汁
甘味: シンジョウとメロンのソルベ

台湾からのお客様にいただいた唐墨。
炙って大根と挟む、が一般的。今回は何故か「冷鉢」に入れている。冷やした煮物のアクセントに面白いと考えての結果である。太胡瓜の煮物+唐墨・・・良し。蒸鮑+唐墨・・・これまた良し。狙い通りだ。煮物に入れるバカも自分くらいだろう。しかし確実に「美味い」。試してみる価値はあるので興味がある方はやってみるべきだ。

唐墨の謂れは良いとして、昨年はぼらの子の質がイマイチだったのでお店では造れなかったので大助かり。味も自分が造った物に近かったので安心して使える。たまに口の中の水分が全部持っていかれる位「ボソボソ」でねっとり感が全く無い奴や、やたらと塩気が強く、魚卵の味が全くしない物もある。また、鮫の卵を加工した「偽唐墨」を使って「唐墨」と称して出すところもある。どちらも勘弁してもらいたいものだ。

唐墨は塩漬けして干すといった単純な仕事であるが、時間は掛かるし手間も掛かる。自分が造る場合は大体仕上がるまで3週間くらいだ。冬に仕込むが気温や湿度で相手の仕方は変わる。温度が高いときは冷蔵庫であったり、湿度が高いときは店の空調をドライ且つ最低温度にして室内干しにしたりする。「唐墨作るだけでそんなことまでするの?」と言われたこともあるが中心まで均等に水分を抜いて行くにはじっくり干す必要もあるし、カビなど生えるともう終わりだ。たしかに「塩」を利かせておけば腐る事も、カビが生える事もないが肝心の「味」がよろしくない。となれば「手」を掛け、ちゃんと「相手」をする以外は自分の場合は方法がない。

唐墨は作ろうと思えば他の魚の真子(卵巣)でも造れるがやはり「ぼらの子」が一番良いようだ。近年は海外産のぼら子も出回っていて良質なものも多い。しかし自分は国産の物にこだわりたい。今年は質の良いものが手に入れば良いが何せ相手は「自然」であるので正直たかが人間にはどうしようもない。

なので、自分は「祈るのみ」である。今年は豊漁でありますようにと。ちょっと気が早い話でした。

追伸:明日は大雨らしいな、はやく梅雨が明けてほしい。

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