年末のとある日に柳橋にお節の材料探しに行きました。
気に入ったモノがあれば買おうかと。
焼き諸子(結局お節に入れてない)なんか買ってプラプラしていると思いもよらぬ奴がいました。
「フナ OO円/g」
おぉー、フナだ、鮒!!活物やんけ!!!
多分ほとんどの人は全く共感できないと思います…。板前さんでも首をかしげるレベルです。
しかし、自分のテンションは上がりっぱなしです。即、購入です。小振りですが美味そうです。
魚屋さん曰く、「誰も買ってくれない(苦笑)」とのこと。そりゃそうだ、福岡で無理してフナ食べなくても美味しい魚は沢山あるし、まず、扱った事がある人はかなり限られてると思われます。そんなに難しいものではありません。鯉の小さい版です。
鯉や鰻、なまずなどの淡水魚は基本的には生きたまま調理するのが習わしですが、ゆるりには生簀がないので締めてもらってすぐ店に直行、調理です。その他の仕入れや仕込みも後回しです。段取りもなにもありません。フナ、一番大事です。
鯉同様、鱗を付けたまま捌きます。胆のうがお腹の浅い所にあるので破らないように慎重かつ、スピーディーに捌きます。胆のうが破れると緑色の苦い汁が出てきます。身につくとチョー苦くなって洗っても取れません。鯉、鮒の身質は水洗いすると鮮度が落ちるのが早いので捌く時点での水洗いは厳禁です。一気に捌き、鱗を付けたまま皮を取り、洗いにして素早く冷やします。。
常連さんに何も言わずにお出します。意地悪と言えば意地悪かもしれませんね。
「この魚は何?美味しいねー。で、何の魚?」
お客様は絶賛です。
「鮒?あのフナ?」
となりますが、「鯉より美味しい」「全く臭みがない」「はじめて食べた」などなど、感想は尽きません。大好評でした。
鯉よりも甘みがあってしっかりした歯ごたえと旨味があります。話のネタにもなりますが自分は「美味いという確信を持って」お出しています。でも、「鮒」って言うと食べて戴けないかもしれないという不安もあるので少しズルしてしまいました。
ともあれ、今年も珍味?珍魚?も機会があれば扱っていきます。固定観念に捕らわれず召し上がっていただけたらと新しい味に出会えるかもしれません。高級魚だけが美味しいわけではありません。美味しい物は美味しい、それでいいと思います。
追伸:ホントにどうでも良い事ですが、年末年始世捨て人のような生活をしていました。昨日、レミー・キルスターさんがお亡くなりになった事を知りかなりのショックを受けました。先月初めにはスコット・ウェイランドさんもこの世を去った事も含めとても残念に思います。今日はSTP,M・Hを聴きながら仕事をしました。わからない方にはホントに無駄な話でした。すみません。
TEL:092-725-6870(完全予約制)
————————————————